いぬちブログ

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2017-10

ノッツバンドライブレポ「西日が強い2010」

まあ、たこ焼きを食べに行ったわけではなくて、
ライブを観にいったんですけどね。



▼「西日が強い2010」
2010年10月23日(SAT)
OPEN/START:16:30/17:00
場所:北堀江clubvijon
http://agoaniki.blog57.fc2.com/blog-entry-134.html

一番観たかったのは、このバンド。

● KNOTS BAND
ノッツ: Guitar & Vocal
しげる: Drums & Chorus
マロ:  Bass & Chorus
つかさ: Piano & Chorus

- セットリスト (thanks > suzunan)
1.ミルクの多すぎるコーヒー
2.適温の部屋
3.ショートカットファンクラブ
4.ラビットフォーゲッツ
5.サボテンと蜃気楼
6.ガールミーツボーイ



筆者が、2年くらい前から追っかけている、ミュージシャン「KNOTS」が率いるバンド
「KNOTS BAND」である。
(※正式名称は英語表記と思われるが、「ノッツ」「ノッツバンド」という表記も併用。)

全部のライブを見ているわけではないが、これは断言できる。
今回は、過去のライブの中でも、間違いなく、ベストアクトだった。

彼のライブは、大阪という土地と非常に相性がいいのだ。

というのも、昨年開催された、同タイトルのバンドワゴン「西日が強い2009」でも、
ギターボーカル「KNOTS」名義のソロライブがあったのだが、

 「え、この方、大阪でのライブ初めてなんですか?」

とライブハウスのスタッフが驚いたほどに、大阪のファンに愛されている。
その証拠に、昨年のライブでは、コーラスパートを
ファンが自主的に合唱するという面白い現象が発生したのだ。
(しかも、「アイシンクアンシン」という彼のオリジナル曲で、だ。)

近年は、インターネットの発達で、初めての土地のライブでも、
すでにファンがついているという現象は、珍しくないのかもしれない。
けれど、この、オーディエンスのノリの良さは、大阪ならではないかと思う。

加えて、このノッツというボーカリストと、そのバンドメンバーたちは、
こういった「ホーム」の状況でこそ、その真価を発揮するのだ。

厳密な意味では、彼らの出身地である山口こそが、ホームなのだろうけれど、
オーディエンスがあたたかく迎えるという意味での「ホーム」は、
いま、もしかしたら、大阪なのかもしれない。



閑話休題、今年のライブは、本当にすばらしかった。
曲順に、少し詳しく紹介したい。



1曲目。
ノッツバンドとしてはめずらしく、
スローバラード「ミルクの多すぎるコーヒー」からスタート。
オーディエンスの高いテンションを、一旦冷まして
「音楽を聴く」モードへのスイッチを入れる。
水を打ったように静かになるフロア。
ライトに照らされるテレキャスター。
静かなギターのアルペジオから徐々に厚くなっていくオーケストレーション。
エンディングを思わせる静かなピアノ伴奏になったあと、
お決まりのブレイクをきっかけに、
再び迎えるクライマックス。
あふれるほどのグルーヴが、ライブハウスを満たす。

 ― 君に会いたいとか
   君と話したいとか
   そんなんじゃなくって
   思い出すのは
   君が入れてくれた
   ミルクの多すぎる
   コーヒーの味

これが気持ちよくないわけがない。

knotslive.jpg
        (マイクスタンドの調整に心を砕くノッツさん)


2曲目は、「てっきーおんのへーや!」のコーラスが印象的な「適温の部屋」。
筆者がこの曲を、「ノッツバンド」名義で初めて聴いたのは、
おそらく2009年の「つのしまジャミン」だったと思うが、
実は、当時はあまりピンとこなかった。
というのも、「てっきーおんのへーや!」というコーラスが、
山口のオーディエンスと、あまりかみ合わずチグハグな印象を受けたからだ。
しかし、大阪のファンは違う。
バンドとオーディエンスが一体となって、音楽を前へ前へと進めていく。
この状態になったときに、ノッツバンドは本当に強い。
ライブってすばらしい。


3曲目は、「ショートカットファンクラブ」。
ポップ&ロックが中心のノッツバンドのレパートリーの中で、
ちょっと異彩を放つファンクナンバー。
見所は、ギターとピアノが、キャッチボールをするように、
短いフレーズを交し合う中間部。
現在は、遠距離恋愛バンドとなっている(メンバーが山口、関東と分かれている)
ノッツバンドは、おそらく、それほどリハーサルをしていないはずだ。
どちらかがボールを落とせば、流れがとまってしまうスリリングな展開。
息がつまるようなコールアンドレスポンスを経て、
四分音符4発→トゥッティへつながるカタルシス。
すばらしい。



ここまで、絶賛してきた彼らのパフォーマンスだが、
もちろん残念なところがないわけではない。
というのも、このあたりから、全体の音量バランスが崩れてくる。
最初の2曲では、はっきり聞き取れていた歌詞が、徐々に聞き取れなくなる。
筆者は、歌詞をほぼ暗記しているので、あまり問題ないのだが、
初めてノッツバンドを聴くオーディエンスのことを思うと、
若干、胸が痛む場面もあった。;)

この点は、まだ若いバンドゆえの「伸びしろ」として…ね、しげるくん。:)



4曲目。「ラビットフォーゲッツ」。
普段(ソロ名義)では、アコースティックギター(ギブソンJ-50)の弾き語りで
しばしば演奏している曲であるが、
この日は、テレキャスターをリードギターとしたバンド編成で。
それにしても、こんな風に

 「テレキャスターとブルースハープでバラードを演奏するボーカリスト」

を、筆者は寡聞にして知らない。
最初に楽器を構えたときは、「えっ」と思ったのだが、
音にしてみると、何の違和感もなく、「意外と合うね」という印象に変わった。
それ以上に、彼のハイトーンボイスが、
ライブハウスの大音量の中を突き抜けるさまは、芸術という他ない。

日本の音楽プロモーターは、何をやっているのか。
早くセカンドアルバムを作ってください。お願いします。^ロ^;

あるいは、もっとでかい野外フェスに招聘してください。
そしたら、観にいきますので。まじで。


5曲目、「サボテンと蜃気楼」。
歌詞が聞き取れない。
単に、音量バランスの問題であるが、おそらくPAの問題ではない。
楽曲は、間違いなくすばらしい。
バンドバージョンのアレンジもすばらしい。
バンド演奏の技術も99%問題ない。
しかし、歌詞が聞き取れないのだ。

私は、途中から、歌詞を聴くことを放棄して、インストゥルメンタルとして聴いていた。
それはそれで、新しい楽曲の側面を発見できたし、
身震いするようなサウンドもあった。

ただ、この曲の歌詞を読めば、
オーディエンスの手拍子が必要な曲ではないはず。

むしろ、内に秘めたダイナミズムこそが、この曲の本質であると思う。
いちオーディエンスとして、ちょっぴり残念な気持ちになった。

いや、もしかしたら、ノッツは、そこまで読みきった上で、
あえてノリのいい曲のフリをさせているのかもしれない。
サボテンと蜃気楼、蜃気楼、蜃気楼……うーむ。
探偵ごっこは無粋なので、やめておこう。


6曲目、「ガールミーツボーイ」。
おそらく、この曲を最後の曲としてレイアウトしているだろうという予感が私にはあった。

もちろん、根拠はある。

数日前に行われた、ノッツ(ソロ)のUstreamライブにて、
最後に演奏されたのがこの曲だったからだ。

そのとき、演奏されたガールミーツボーイはまさに絶品だった。
ソロギターと、ボーカル(+打ち込みのバッキング)の演奏であるにもかかわらず、
まるでビッグバンドで演奏しているかのような音の密度とアドリブ感。

この密度の音楽を、このドライブ感で演奏できるミュージシャンを
私は、それほど知らない。

リンダアンドザビッグキングジャイブダディーズ(すでに解散)か、
チャールズミンガスビッグバンド(の"Moanin'")か、
ボーヒュースレン・ビッグバンド(スウェーデン)か、
EMバンド くらいか。

しかも、それらの4つは、いずれも大編成のバンドである。
それを、若干30歳そこそこの日本人男性が、一人(と打ち込みオケ)でやってのける。

筆者は、Ustreamを見ながら、笑いが止まらなかった。
決して、大げさに言っているわけではない。

と、ここまで書いておいて、なんだのだが、
大阪で演奏されたガールミーツボーイは、そんなアドリブ感あふれるアレンジではなく、
いわゆる「通常バージョン」のアレンジだった。

もしかしたら、あのUstreamは、彼なりのテストだったのかもしれない。

この方向性が、オーディエンスに受けるかどうか。
自分として納得できる演奏ができるかどうか。

間違いなく、オーディエンスは絶賛していたのだが、
彼にしか分からない、
「このバージョンはまだ早いな」という感触があったのかもしれない。

あるいは「来週(30日)、東京でお会いしましょう」という
彼なりのメッセージなのかもしれない。

いつか、あのバージョンをライブで聴いてみたいと思いながら、
ステージを終えたノッツバンドの背中を見送った。



ノッツバンドがこの日演奏した6曲は、以上のとおり。

たった6曲で、この奥行きと、震えるような音楽の連続。
このライブに関わったすべての人に、最大限の感謝をしたい。

主催者のアゴアニキ、おつかれさま。

ノッツさん、まろちん、しげるくん、つかさちゃん、
すばらしい音楽をありがとう。


ラリーカールトンが、以前(10年以上前)、NHK-FMのインタビューに答えて

 「ぼくら(Fourplay)は、最近、ようやく『バンド』になった気がする」

と言っていた。
筆者は、その言葉の意味をずっと考えていた。

『バンド』とは、何か。

誤解をおそれずいえば、それは、音楽の一体感であると思う。
その曲が持っているグルーヴをメンバー全員で引き出して共有して、一緒に走ること。

決して、テクニックのことではないし、精神論でもない。

ノッツバンドのメンバーたちは、本当に仲がいい。
彼らの作るグルーヴには、おそらくそんなことも関係しているんだと思う。

日本の音楽シーンに絶望している人は、ぜひノッツバンドの音楽に触れてほしい。
ノッツ個人名義のCDも出ているが、本当に聴いてほしいのは、ライブだ。

チケットが取りづらくなるのは困るけれど、
日本には、こういうバンドがもっと増えてほしいと私は思っている。 

(絵と文:いぬち) 2010年10月24日


P1050718s.jpg
写真:ライブの翌日、ファンと串カツを囲むノッツさん(中央:vo)とまろちん(右:bass)の一部。

<参考>「KNOTS」個人名義のMySpace。(試聴可能)
http://www.myspace.com/knotscream


本文中の敬称略です。
かなり失礼なことも書いていますので、気を悪くしたらごめんね。

以下、定型文。
- この日記の転載はお断りします。
- 直リンクはご自由にどうぞ。


▼追記:
本文中「ストラトキャスター」は、「テレキャスター」の間違いでしたので
訂正しました。つっこみありがとうございます。>まろちん。

▼追記2:
長くてつらい人のために、絵を入れました。

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